西園寺先生は紡木さんに触れたい

「それで、なんで花奏ちゃんは大人っぽくなりたいの?」


千秋はニヤリと笑いながらそう聞くと、紡木は「えっと…。」と言葉を詰まらせた。



「デートに誘って、告白したい人がいるんです。」


なんとなく、西園寺だということを伏せて言うと、千秋は「へえ〜。紡木ちゃんにもついに圭統に落ちたんだ〜。」とにやけ顔のまま返した。


その言葉に紡木は一気に顔を真っ赤にして「ち、ちがっ!」と否定したが、そんな顔で否定しても受け取ってもらえるはずもなく、「いいって、いいって。」と千秋はケラケラと笑った。


「顔、真っ赤。花奏ちゃんったら分かりやすすぎ!」


千秋にそう言われて、紡木は思わず頬を掌で覆った。みるみるうちに頬の熱が掌に伝わった。


「…先生には、黙っててください。」


「あったりまえじゃん!」


恥ずかしそうに俯きながらそう言う紡木に、千秋はトンと自分の胸を叩いた。



その後は暫く話して土曜日にまた会おうということで解散になった。
千秋に見送られて駅前からバスに乗ると、そのまま家に帰宅した。


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