西園寺先生は紡木さんに触れたい

「お待たせ〜!」


紡木がそんなことを思っていると、漸く千秋が戻ってきた。手にはブランドのショッパーを持っている。


「さあ、行こっか!」


そう言って自分の荷物を持つ千秋に、「え、あの、これ買いたいんですけど!」と紡木はおろおろしながら返した。


「ああ、もう買ってあるから大丈夫!」


「…へ?」


予想外の返答に紡木が頭上に?を浮かべると、千秋はその手に持っていた紙袋を紡木の前へ差し出した。



「これ、私からのプレゼント!」


「え!?そんな、もらうわけにはいかないです…!」


「いいのいいの、私が勝手に連れてきたんだし。よかったら使って。」


そう言ってニコッと笑う千秋に、紡木は少しの躊躇いの後、「ありがとうございます!」と頭を下げて受け取った。

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