西園寺先生は紡木さんに触れたい
ようやく化学準備室へと戻ると、いつもの椅子に腰掛けて一息ついた。
なんだかここ最近
紡木さんはより一層綺麗になった。
長いまつ毛がより一層長くなって丸く大きな目を強調させてるし、頬も化粧の所為か照れているようにピンクに染まっているし、瞼の上はなんだかキラキラしている。
それは俺だけではなく他の生徒も気づいていたようで、朝のホームルーム前に俺が副担任を受け持つクラスに入室すると同じような声が聞こえてきた。
『5組の紡木さんって知ってる?なんか可愛くね?』
『な!俺今まで全然気づかなかったけど普通に可愛いよな。』
やっとお前らも紡木さんの魅力に気づいたか。
っていうか“普通に”可愛いってなんだ。
最上級に可愛いだろうが。
『え、見た?花奏ちゃんめっちゃ垢抜けてない?』
『ねー、彼氏でもできたのかな?てかまつ毛長くて羨ましい〜。』
『マジでそれな!後でマスカラ何使ってるか聞こ〜。』
マスカラだけ真似したところで紡木さんには敵うはずが…って、彼氏?紡木さんに?そんなわけ…。
その時はそう言い聞かせてみたものの、その結果がこれだ。