西園寺先生は紡木さんに触れたい



そんな西園寺を見て、紡木は(先生も緊張しているのかな…。)とこれまた勘違いをしていた。



先生まで緊張されると私はもっともっと緊張するんだけど。



…っていうか、私が今日告白しようとしてるの、バレてたり…する?



慌てて西園寺の方をチラリと見ると、彼は信号待ちでぼーっと前を見つめていた。

まさか、そんなわけ、ないか。


紡木はそう思い直してまた窓の外に視線を送った。


こっちを見たかと思えばため息をついて窓の外を見たり、どこか落ち着かない様子の彼女に、西園寺はすごく愛おしくて、すごく寂しくなった。


ここまで余裕のないのは、きっと紡木さんは牧野くんのことが本当に好きなんだ…。


こんなにコロコロと表情を変える彼女がやっぱり好きで、このまま家に戻って閉じ込めてしまおうかと一瞬真剣に悩んだ。


しかし僅差で理性が勝って、気づけば2人を乗せた車は光の郷に到着した。

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