西園寺先生は紡木さんに触れたい

『さっきのリレー、最後やばかったな。』


『流石にイケメンで性格良くて頭が良くても運動はできねえのかな〜。』


『てかなんか走ってる時、変じゃなかった?』


『てか吉田先生速くてかっこよかったよね〜!』


『アタシ吉田先生に乗り換えよっかな〜…。』



廊下から聞こえてくる声に、保健室で休んでいた西園寺は反射的にぎゅっと身を縮こませた。


別に気にすること無い。寧ろ休み時間のたびにギャラリーが集まってくることにうんざりしてただろ。


それなのに誰かと比べられるだけで胸が痛くなる。



『2組の西園寺、予選落ちらしいよ。』


『あれ?西園寺ってコーチが全国狙えるとか言ってなかった?』


『ああ、最後のレースで急に走るのやめたらしいぜ。』


『はあ?頭おかしいんじゃね?』


『俺も見ててビックリしたわ。』


だから、嫌だったんだ。





「うっ…。」


西園寺は呻き声を上げると近くに用意していた洗面器に思い切り吐瀉した。

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