西園寺先生は紡木さんに触れたい


「紡木さんの、ことじゃん。」


「え?」


紡木は聞こえなかったようで、西園寺に聞き直すと、西園寺は声量を上げて叫ぶように言った。



「いや…それって紡木さんのことじゃん!」


「はあ?」


驚いて目を丸くする紡木を、西園寺はじっと見つめた。


いつの間に?
この数日の間で?


…いや、本当は…


そんなことは今どうだっていいんだ。
とにかく、言葉に出して伝えないと。





「好きです、付き合って…いや、結婚してください!」


やっとの事で飛び出した言葉。西園寺にはもう自分を抑える力なんてなかった。




「…え、性犯罪者予備軍ですか?キモ…。」



想像していたものよりも百億倍辛口な彼女の言葉に西園寺はぽかんと口を開けて呆然としていた。



ああ、紡木さん。
初めて恋心に気づいた僕に、性犯罪者予備軍だなんて…



そうこうしているうちに、紡木は勢いよく立ち上がってそのまま準備室から出ていってしまった。



西園寺は徐々に冷静になっていくにつれ、大きな後悔に襲われた。



いや、そうだよな。急に結婚してください、って。びっくりしちゃうよね…。


でも僕は、君と結婚できたら…


そう途中まで思って、急いで打ち消した。

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