囚われた花は、今日も愛でられる
頬を赤く染め、優しい笑みを浮かべ、この前見た恋愛ドラマのワンシーンが萌花の頭の中に浮かぶ。否、恋愛ドラマの撮影の時よりも和馬の表情は自然だ。

「そうだ、今度お互い休みが一緒だよね?どこか遊びに出かけない?」

和馬の突然の提案に、萌花は「えっ!?」と驚く。一緒に遊びに行くなど、考えたことすらなかったからだ。

「あの、もしも誰かに見られたら……」

芸能人にとって、スキャンダルというのは自分の首を絞めるものである。下手をすればそのまま芸能界を去らなければならないこともあるのだ。

「大丈夫。行き帰りは車にして、変装もしよう。任せて」

和馬に大丈夫だからと説得され、萌花と和馬は遊園地に行くことになったのだ。



久しぶりの休日は、萌花にとって楽しいものとなった。隣には和馬がおり、まるで恋をしているように胸がずっと高鳴っていた。

萌花と和馬は、それぞれウィッグを被り、服もメイクも普段とは全く違うものを選び、普段の萌花と和馬とは結び付けられないほどうまく変装ができた。
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