囚われた花は、今日も愛でられる
「何考えてるの?僕以外のことは考えるなって言ったよね?」

顎を掴まれ、強制的に目を合わせられる。和馬の目は狂気的な感情を孕んでおり、萌花の頭に彼から逃げられないというのに警告音が鳴り響く。

「さあ、愛し合おうね」

和馬はそう言い、萌花の首筋に噛み付いた。



萌花が何故監禁されることになったのか、それは大学進学を機に萌花が上京した際、スカウトを受けたことから始まる。

東京の有名大学に進学した萌花は、勉強をしながらカフェでのアルバイトもしていた。そんなある日、芸能事務所の人間を名乗る男から名刺を渡されたのだ。

「モデルとか興味ありませんか?あなたは高身長ですし、モデルさんになったら服がさらに輝くと思うんです」

萌花の身長は、周りにいる女性よりもうんと高い百七十センチだ。幼い頃から平均よりも身長が高かったため、小学校や中学校では「巨人」と呼ばれ揶揄われることもあった。そのため、萌花はこの身長がコンプレックスとなっていた。
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