囚われた花は、今日も愛でられる
そんなある日、萌花はとある結婚式場で撮影をすることになった。ウェディングドレスを着ての撮影に、萌花は胸を弾ませる。

「萌花ちゃん、今回の撮影は新郎役の人と一緒に撮るんだ。モデルの仕事は初めてって言っていたから、教えてあげてね」

そうカメラマンに言われ、「初めまして」と言い萌花の前に現れたのは、萌花がずっとテレビの前で憧れていた和馬だった。

「えっ、岩田和馬さん!?」

驚いて口をパクパクさせてしまう萌花に対し、和馬はニコリと笑って「知っていただいているようで、光栄です」と言う。そして、和馬の方も萌花のファンなのだと教えてくれた。

「素敵な笑顔だなって思って……。初めて雑誌で見かけた時からずっと、ファンなんです。だからこうして一緒に仕事ができるのが光栄で、昨日はドキドキし過ぎてあまり寝れませんでした」

照れ臭そうに和馬は頬をかき、話す。テレビでは見たことのない表情に萌花の胸は高鳴り、本当は言いたいことはたくさんあったのだが、「ありがとうございます」と一言言うだけで精一杯だった。
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