雪の国の恋、とけない魔法
雪の国に到着


✴︎雪の国に到着✴︎


雪の国の宮殿みたいなホテルに足を踏み入れた。

ロビーは5階部分ほどの高さまでの吹き抜けで、大きな大きなシャンデリアが3つ。柔らかな光で落ち着いた雰囲気だった。

幹事の木下さんがチェックインしている間も、花梨はロビーの吹き抜けを驚きながら眺めていた。

人気の全くない雪山の中。
そんな外からは想像もつかないほど豪華で広くて暖かくて、でも外に見える景色はやはり深い深い雪。
こんな人の立ち入れないような静寂な雪深い山の中に、こんな何でもなく、巨大なあたたかな宮殿に静かに人が集まっている。

魔法じゃないよね。

あまりに現実感がなくて、


「よかった! 2人部屋! 」


と美紀に声をかけられるまで、見上げたままだった。


急いで荷物を置いて、すぐ宅配で送ってあった自分達のウエアや用具を準備。

スキーの準備をモタモタしながら、知らなくてやったことがない事って、なんかキュッて気後れする。
だめだめ。
ちゃんとした自分になるんだから。

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