雪の国の恋、とけない魔法

✴︎夕食はイタリアン✴︎


3テーブル。

カップルの先輩と1人参加の木下さんは同期で仲良く、自然に3人が座った。

藤枝さんが美紀に「ここ座りなよ、」と自分の前を指すから、花梨は美紀と2人横並びで座る。そうしたら当然上月さんが藤枝さんの横、目の前に座った。

新田さん3人組は、不満そうに渋々隣のテーブルに座った。

宿泊とセットになったコース料理で、皆でワインを一本分けて、結局テーブルの4人で散々話が弾んだ。

料理の話をして、去年のスキーの話をして、実家の話をして、好きな食べ物の話をして、2人ともカノジョはいないって。

男の人でも話が合うとか合わないって、女の子の友達みたいにあるんだ、だって話しやすい。
信じられないけど、上月さんて話しやすい。

ずっと逃げてた。
上月さんと話すなんて無理だろうって。
素敵な人だから。
なのに話が合うんじゃないかって思った。

花梨が言ったことを興味をもってちゃんと聞いてくれるし、思ったことを言ったら、そうそうってにこにこしている。

上月さんの話したことだって、自然に共感して、ですよねーって思う。

どうしよう、もっともっと知りたい。

今までも避けずにちゃんと話をしていれば、こんな風に話せたのかもしれない。

話して。

もっともっと、彼を知りたい。



美紀と2人の部屋に戻っても、変な気持ち。
まるで魔法にかかったみたいに、雪の国の私たち、甘くてふわふわして、そんな気持ちが雪みたいに心に降り積もる。どんどん心がいっぱいになっていく。

現実に戻ったら、消えてしまう?
もとのイマイチな自分になって、上月さんと話せない自分に?
降り積もったこの気持ちをかかえて、どうなっちゃうんだろう⋯⋯ 。


< 13 / 43 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop