雪の国の恋、とけない魔法


オレンジ色のゴンドラみたいなリフトに乗って、カバーがカパッと全体を覆う。
4人席。
到着点はまだ見えない。
登ってなだらかになって、また登って。
だんだんと景色も変わる。
両脇は未踏の山、時折、木々の間の雪の塊が落ちてトスンッと崩れる。
野生のウサギやキツネの足跡もあるらしいが、枝から落ちた雪の跡と見分けはつかなかった。

少し雪が降ってきた。
皆、何でもなさそうだから、どうって事ない天気なんだろうけど、上に到着するまでにもどんどん暗くなって雪がシンシンと降ってきた。

このままリフトに乗せてもらって、下まで降りた方が良くない?

なんて。


「「「はいっ」」」


って一斉に声をかけられて、同時にリフトを降りちゃって、よろよろス〜とリフトから何とか転ばす離れる。
右側へ。
広がるのは午前の授業の成果で降りれるほどのなだらかな坂。
行ける、大丈夫⋯⋯ 。

何とか坂を滑り降りた。

顔に雪がピチピチとあたる。

花梨達のずっと後からリフトを降りてきた人も、横をスピードを出して追い抜いていき、あっという間にいなくなる。

ちょっと平地になって、ほっとして、にこやかに待っていた3人がふふっと笑う。

ところがその平地を超えた先、いきなりの急斜面が眼下に見えて言葉を失った。
えっ⋯⋯ 。


「じゃ、滑りましょう〜みなさま」
「はーい、じゃ行きましょ〜 」


と言いながら、3人がシュワーっとまたたくまに滑り降りて行く。
最後にチラリとゴーグルの顔がこちらを見た。

わざと。

置いて行かれた。

スピードをあげて急斜面の先のカーブを、3人ともあっという間に消えていった。

いや、⋯⋯ 。

無理だから⋯⋯ 。

どうしよう⋯⋯ 。

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