雪の国の恋、とけない魔法
「綺麗! 」
一面ケーキのよう。真っ白でふわふわ。
空からはチラチラと細かくて、お砂糖みたいな粉雪。
寒いのに寒くない。
「わぁ! 」
回廊から散らつく雪の中、思わず中庭に出て、すごい、って感動して見上げたら、光に照らされる宮殿のようなホテルの三角の屋根。
「絵本みたい! 」
言いながら振り返って上月さんの顔を見上げたら、じっとこっちを見下ろす彼の目。
雪と幻想的なライトと、その光に照らされた顔。
じっと見られて、この現実もまるでおとぎ話みたい、上月さんとこんなところに、夜に2人きりで見つめ合う。
これは魔法?
すいこまれてしまうみたいだ。
彼の目がフッと柔らかくなって、その甘さにさらに魅入る。
「それだけ感動したら、来た甲斐があるよね」
「ですね!!! 」
こんな雪を体感できて、もうそれだけでもよかった!
上月さんと話せて、よかった⋯⋯ 。
「写真撮ってあげる」
「あ、」
カシャ。
なんかはずかしいな、上月さんの携帯に写真をとられて。
「送るから、はい、アドレス交換しよ」