雪の国の恋、とけない魔法
びっくりしすぎて、言葉がわからない。
えっと? 付き合う?
「まぁ、こんな状況じゃなくても、実は旅行中には言うつもりだった。オレのカノジョにならない? 」
「ワタシですか? 」
「いや、他に誰もいないよ」
「⋯⋯ ですね⋯⋯ 」
「分かった? 」
「分かったとか、えっと私、付き合った事ないんですよ⁈ そんな簡単に⋯⋯ 」
「何でもハジメテってあるだろ、構えなくていいよ」
とにっこり笑った。
それから起き上がって、
「カノジョだからいい? 」
と上月さんは、くっついてるベットから、花梨の方! 壁側ベットにさっと入ってきた!
わわ、体が触れちゃう!
「帰ってきたらどうするんですかっ⁈ 」
にやり
「帰ってこない」
「って? 」
「藤枝は美紀ちゃんねらいだよ」
うわっやっぱり! じゃぁ、あの2人ってば、両思いなんだ!
焦って思わず上月さんと反対側、壁に向いて花梨は横向きになった。
上月さんは、後ろからそっと肩に手を回してきて、彼の胸に抱き込まれた。
あー、温泉のシャンプー使ったから、同じ髪の香りなんだな、とか、よくわからないことをまず思った。
人とこんなに近くなったのって、子供の頃の両親以来かな⋯⋯ 。
そんな逃避して。
えーっと、彼の腕、妙に高い体温、大きな手⋯⋯ 。
彼が少しみじろぎして、花梨の後ろから首筋に何かふわりと当たった。
唇。
頭や肩や首筋に、彼の鼻や唇の形がでこぼこ、人間の鼻って意外と高くて、人の頭ってこんな大きさで、唇は柔らかいんだ。