雪の国の恋、とけない魔法
分かってる?
✴︎分かってる? ✴︎
晩ごはんの前にちょっと、と今回の幹事の木下さんに呼ばれた。
宿泊階のハズレにあるスペースに行くと、藤枝さんもいて、新田さん達3人も呼ばれていた。
花梨が呼ばれる前に、3人はかなり注意されたという。
個人的に双方、摩擦がある事もあるだろう。
しかし社会人として常識がない、ましてや大変な危険につながるような行動は良くない。初心者と気がつかなかったというなら、状況判断力にも問題がある、云々。
「申し訳ありませんでした」
と3人が花梨に頭を下げた。
「いえ、何もなくてよかったです⋯⋯ 私にとっても、新田さんたちにとっても⋯⋯ 」
と言ったら、
「森川さん、あなたもです。はっきり拒否して下さい。意見を口にして発言して下さい。流されず断ることが出来ないと困りますよ。自分の身は自分で守ってください」
と結構厳しく注意された。
その後、木下さんが今日の夕食のレストランに手続に向かった。
と新田さんが、
「スキー目的じゃない人が来てるって、ほんと信じられない! 」
「⋯⋯ 」
うっ、言い返せない、ほんとだから。
「ふ、じ、え、だ、さん! 」
と新田さんは藤枝さんを睨んで続けた。
「一緒にスキーをガンガン滑れる子の方がいいんじゃないの⁈ それとも、なに⁈ 初めてなんです、って、オレが教えてあげるよ、みたいな⁈ そーゆーのはやってんの? 」
「流行りかどうかは知らないけどね」
と藤枝さんが苦笑した。
「スキーなら別に1人でも滑るよ。それに新田さんみたいに上手な仲間とも楽しく滑れるしね」
「嬉しくないんですけど! 」
「好きな子とはずっと一緒にいたいし、色んなことを2人でやりたい。今はそれが、たまたまスキーだっただけでね」
「はぁ、うざいです⋯⋯ 」
「だから、好きな子がスキーが滑れても滑れなくても、そんな事はどうでもいい、かな〜? 」
とにっこりと笑った。