雪の国の恋、とけない魔法
とけない魔法

✴︎とけない魔法✴︎


3回泊まったホテルを出て、バスに乗りこんだ。
真っ白なふわふわの雪景色。
山を下るたび、雪は減っていく。
魔法のかかった雪の国。
道を進むたびに、どんどん現実に戻っていくみたい。

なんか旅行が終わっちゃうのさみしいな。
雪がとけたら魔法もとけちゃう? なんて⋯⋯ 。

まさかここを下ってしまったら、魔法の4日間の事が消えてしまわないよね。

雪がなくなって、魔法までとけてしまって、白い雪の国から現実に戻っちゃって、飛行機に乗り込んでおりたら、やっぱり上月さんといられないんじゃないかって⋯⋯ ふと心配になる。


「なんか返したくないな」

「えっ⋯⋯ ? 」


と彼を見たら、私をじっとみていた。


「花梨と離れたくない」


彼の手が、花梨の手を握った。


「なかったことなんかにするなよ」


上月さんも、そんな事思ってるなんて⁈


「明日、オレん家くる? 」


私の心は魔法のかかったまま残る。
上月さんを好きな心が残る。
それが現実になる。

上月さんも同じように、花梨を思ってくれている。ちゃんと。

彼といたい、どこでもいい、何でもいい、一緒にいたいだけなんだ。
これからの全部の時を、2人で過ごしたい。




✴︎


帰って日曜日。
月曜日は会社に行った。
でも、その夜。
花梨は上月さんの部屋にいた。



雪の国から帰ってきても。
現実の世界で彼と恋は続いていく。
まるで、永遠にとけない魔法みたいに。




✴︎おわり✴︎

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