雪の国の恋、とけない魔法

✴︎ケガしちゃってさ、一緒に過ごそう✴︎



搭乗口で集合。
一番最後になって、藤枝さんが足をヒョコヒョコしながらやってきた。


「いや〜昨日ねんざしちゃってー」

「大丈夫ですか⁈ 」


と思わず大きな声を出したのは美紀だ。

すると3人組が、はぁ⁈ ぎろって美紀を睨む、それからケガの心配を口々に言う。

藤枝さんはインストラクターの資格があるぐらいスキー上級者らしい。


「今年の北海道、雪楽しみだったんだけどね〜 」


と、それでも機嫌が良さそうなので、場の雰囲気は悪くならず、何やってんのって笑いにつつまれた。
3人は何やらヒソヒソ話してる。
ちょっと感じ悪い。
一緒に滑れなくなったとか、コソコソ言っている。

でも藤枝さんの態度は感じいい。
ふーん、男の人のこういう面て、きっといいところっていうんだろうな、と思いなが見ていて、それからふと藤枝さんの隣を見たら、上月さんと目がぱちっと合ってしまった。
ドクン、て心がなった。

あわてて目を逸らす。
じろじろ見ちゃダメだ。
何もないのに、簡単に男の人にドキッなんて、少女マンガみたいな事をしてたらおかしいでしょう、自意識過剰、普通にしてよう。


「翔、歩けるの? 」


と上月さんが言いながら、なんて事なく藤枝さんの荷物を持った。
トクンとまた心臓がなる。


< 7 / 43 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop