雪の国の恋、とけない魔法
✴︎ケガしちゃってさ、一緒に過ごそう✴︎
搭乗口で集合。
一番最後になって、藤枝さんが足をヒョコヒョコしながらやってきた。
「いや〜昨日ねんざしちゃってー」
「大丈夫ですか⁈ 」
と思わず大きな声を出したのは美紀だ。
すると3人組が、はぁ⁈ ぎろって美紀を睨む、それからケガの心配を口々に言う。
藤枝さんはインストラクターの資格があるぐらいスキー上級者らしい。
「今年の北海道、雪楽しみだったんだけどね〜 」
と、それでも機嫌が良さそうなので、場の雰囲気は悪くならず、何やってんのって笑いにつつまれた。
3人は何やらヒソヒソ話してる。
ちょっと感じ悪い。
一緒に滑れなくなったとか、コソコソ言っている。
でも藤枝さんの態度は感じいい。
ふーん、男の人のこういう面て、きっといいところっていうんだろうな、と思いなが見ていて、それからふと藤枝さんの隣を見たら、上月さんと目がぱちっと合ってしまった。
ドクン、て心がなった。
あわてて目を逸らす。
じろじろ見ちゃダメだ。
何もないのに、簡単に男の人にドキッなんて、少女マンガみたいな事をしてたらおかしいでしょう、自意識過剰、普通にしてよう。
「翔、歩けるの? 」
と上月さんが言いながら、なんて事なく藤枝さんの荷物を持った。
トクンとまた心臓がなる。