僕らはきっと
日曜の朝、病院へ行った。採血、エコー、レントゲンなどの検査をひと通り終え、待合室で青木医師に呼ばれるのを待っている。対応してくれた看護師や技師の様子から、おそらく結果は悪くはないだろうと予想している。侮ってはいけないと思いつつも、悪くなっても仕方がない、と思う自分もいる。
「どうぞ。」
青木医師の声に呼ばれ、診察室に入った。
「どう、調子は?高校生活には慣れた?」
「ある程度は。」
「少し気になる数値があったんだけど、
発作、もしくは胸が痛んだり、過呼吸になったことは?」
根本を突いてくる。こうなったら、もう騙せない。
「...2日前に、数分だけ」
青木医師の目の色が変わったのを、確かに見た。
「何も聞かないけど、対応はさせて貰うよ」
そう言って青木医師は、そばに居た看護師に点滴と注射の手配を指示した。
「今日は点滴して帰って。発作といっても軽く見ちゃいけない。」
「...分かってる。発作で何度も死にそうになってるの、知ってるでしょ」
青木医師は何も言わずに、僕を診察室のベットに横にさせ、点滴針を手首に刺した。

点滴が落ちる滴を見つめる。今、何時だろう。片手を拘束されているから、動かせない。青木医師からは点滴が終わるまでは動かないように言われている。携帯を見るのを諦めて、ボーッと点滴針の刺さった自分の腕を見る。青白く、細い腕だ。長年の点滴のせいか血管が細くなっていると前に看護師が嘆いてたっけ。スポーツでもしてたら、もっと筋肉も付くんだろうなぁ、なんてくだらないことを考えているうちに、だんだん瞼が重くなっていくのを感じた。
< 7 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop