先生、恋愛を教えて。
式が終わると、わたしを含め今回名取となった3名と、ほかのお弟子さんが数名教室に残って雑談会をしていた。
もう式は終わっているから帰ることもできるのだけれど、こういう場は一人ではなかなか帰りにくい。
それに――
「琉生先生、今回は久しぶりに名取が出ましたね。何年振りでしたっけ?」
「えー、そうですね。4年ぶりですね」
「4年!?そんなに名取になってる人いなかったんですね」
琉生先輩がいるから、さっさと帰るのも惜しい気がするのだ。
「でも、今回はお免状頂けた人多かったですよね」
お琴では名取の前に3つの資格がある。
初伝、中伝、奥伝を取っていき、最後に名取という免許皆伝の資格が頂けるのだ。
「そうですね。奥伝も3人いましたしね」
琉生先輩はわたし以外のお弟子さんには言葉遣いが丁寧な気がする。
わたしとは高校時代の先輩後輩という仲だから、言葉遣いを気にしないのかもしれないけれど……
「若いお弟子さんも増えましたよね。中高生の若い子もたくさん通ってますよね」
「そうですね。親父が学校の筝曲部に教えに行ってるんですけど、そこの部員がそのまま習いに来るっていうパターンが多いですね」