先生、恋愛を教えて。
「さやか!?どうしたの!?入院してたんじゃ……」
さやかはわたしが昔あげたおさがりのワンピースを着ていた。
高価なものではなくて、地味な安いものだったけれど、わたしのお気に入りで昔よく着ていたものだった。
「やっぱりお母さん、お姉ちゃんに嘘ついてたんだね。私最近調子が良くて、通院だけで済んでるの」
「え?そうだったの?」
さやかの姿を見てからまさかとは思ったけれど、本当にお母さんが嘘をついていたとは。
「美菜、さやかちゃん来たみたいだし、俺帰るわ」
「あ、すみません、先輩。さっき何か言いかけてなかった?」
「それはまた今度でもいいや。じゃあね、さやかちゃん」
気を使って去っていく先輩に、わたしは小さく頭を下げた。
「あの……!」
先輩とさやかは学生時代に数回しか面識がないはずだった。
こんな風にさやかから声をかけるなんて思ってもみなくて、思わず彼女の顔を凝視してしまう。
「私との約束覚えてますか?」
「ああ、覚えてるよ」
約束?先輩とさやかが何かを約束していた?
「いつ果たしてくれるんですか?」
「近々そうなる予定だよ」