先生、恋愛を教えて。



わたしの記憶では、2人はわたしと一緒にいるときに数回挨拶を交わした程度だったはず。

どこで約束をする仲になったんだろう。


「さやか、今日は突然どうしたの?」

「実はね、お姉ちゃんにこれを返しに来たの」


家に入って2人でソファーに並んで座りながら、さやかは銀行の封筒をカバンから取り出した。


「なに、これ?」

「お姉ちゃんが、お母さんに振り込んだお金」

「え?わざわざ返しに来てくれたの?」

「うん、お母さん、私が入院してるって嘘ついてお姉ちゃんにお金振り込ませたんでしょ?実はおばあちゃんがね、お金を出してくれたの。お姉ちゃんにいつまでも甘えちゃいけないってお母さん怒られてた」

「大丈夫だった?お母さんとおばあちゃん」


昔からお母さんとおばあちゃんは折り合いが悪く、顔を合わせればいつも喧嘩ばかりしていた。

今回だってお母さんがすんなりおばあちゃんからの援助を受け入れたとは思えない。


「ずいぶん喧嘩続いたけどね。結局お母さんが折れたよ。おばあちゃんのおかげで今までの手術費が全部払い終わったって。お母さんも少し反省してたよ。いくら今までの手術代のためだからって言ってもお姉ちゃんに嘘ついてお金出させちゃったって」



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