先生、恋愛を教えて。



さやかもいつも申し訳なさそうで、周りの人の顔色ばかりうかがっていたから。

いつからかわたしがさやかを笑わせてあげたいと思うようになった。


「あ、そうだ。さやか、先輩と何か約束してたの?」


安心したわたしは、ずっと気になっていたことを思い出して、彼女に聞いてみた。

先輩と話していたあの会話が再び頭の中によみがえってくる。


「ふふっ、お姉ちゃんずっと気にしてたでしょ」

「バレてた?」

「バレバレだよ。大丈夫、変な約束じゃないから」

「何よ、ますます気になるじゃない」

「そんなことより、お姉ちゃんたちってまだ付き合ってないの?」

「な、なに言ってんの、さやか。付き合ってるわけないじゃない」


そもそもさやかの“まだ”の意味が分からない。

慌てふためくわたしを、さやかは面白そうに見て笑っている。


「お姉ちゃんたちお似合いだと思うのになあ。結婚式には振袖着たいから早くやってね」

「ちょっとさやか、まだ気が早いって」

「気が早いってことは、お姉ちゃんは結婚する気満々ってことね」

「もうさやかったら、昔はもう少し可愛げがあったのに」

「だって、お姉ちゃんからかうの面白いんだもん」




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