先生、恋愛を教えて。
久しぶりに直接会った妹とは、驚くほどに会話が弾んでいった。
ベッドに座っている妹の印象の方が強いから、こうして元気でいてくれることがどんなにうれしいことかこの時はっきりと分かった。
「ねえ、お姉ちゃん。お琴弾いてよ」
かわいい妹のリクエストで、わたしはねだられるままに何度もアンコールを受けて数曲弾いてしまった。
時々、さやかは入院しているとき病院から電話をしてくることがあった。
その時によく「お姉ちゃんの演奏が聴きたい」と話してくれていたっけ。
その夢が今こうして実現していた。
「私、お姉ちゃんの演奏好き。名取?だっけ?今日お免状式だったんでしょ?それもおめでとう」
「ありがとう、さやか。でも、先輩の音にはまだまだ遠いんだよね」