先生、恋愛を教えて。
名取になれたら、先輩と同じステージに上がれるのだと今までずっと思ってきた。
でも、実際に名取の資格を取っても同じステージに上がれたとは思えない。
むしろまだ彼とはどれほどの距離があるんだろうと思い知らされるばかり。
「お姉ちゃん、何か欲しい物ないの?初めてのアルバイト代でお姉ちゃんに何か買いたいんだけど」
「さやか、何か買ってくれるの?ありがとう。でも、お母さんとお父さんに買ってあげなさいよ」
「お母さんたちは2番目ね。まずはお姉ちゃんから」
「おばあちゃんにもあげないといけないんじゃない?」
「あ、そっか。じゃあ、おばあちゃんは2番目で」
「ちょっと、お母さんたち3番目に落ちちゃったじゃない」
妹の優しさに触れながら、わたしたちはふふっと笑い合った。
これまでの肩に入っていた力が、少しだけ和らいだ気がした。