先生、恋愛を教えて。



「ねえ、先輩。今からお琴作ってもらってたら、演奏会本番には間に合わない?」

「いや、今からだったら、ギリギリ間に合うよ。新しいお琴でも練習できるくらいには」

「だったら、新しいお琴お願いしたい……って、あ。でも、お金もすぐに欲しいってことだよね」


演奏会本番でその新しいお琴で演奏するには、そのお琴を買うためのお金が必要だ。

でも、今すぐにそんな大金を用意なんてできない。


一生使っていくお琴だから、どうせならいいお琴を買いたい。


前に先輩が言ってた。

100万あればいいお琴が買えるって。


今から100万なんて用意するのはムリだ。


「それだったら、払えるときに払ってもらえばいいよ」

「それはだめだよ。先輩が先に負担するってことでしょ?ほかの人もそんなことしてないんだからダメ」


わたしばかりそんな優遇してもらうなんて、いけないと思った。

いくら先輩が優しいからといっても、それだけはだめだ。


「美菜は本当に頑固だなあ。こうと決めたら意地でも聞かないもんな。今俺が美菜のためにお琴買ってやるって言っても絶対聞かないだろ」




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