先生、恋愛を教えて。
だから、秋の終わりころから広まったある噂を聞いて、多くの女子が落胆した。
もちろんわたしもその一人。
まさかあのタイミングで“3年の本田琉生に彼女ができた”という噂が流れたのだから。
ちょうどテスト直前にその噂を聞いて、その時のテストの点がボロボロだったことを今でも覚えている。
「先輩、彼女ができたって本当ですか?」
そう聞く勇気なんてなくて、今まで通り仲の良い後輩という立場にい続けた。
ちょうどそのころは推薦入試を終えたころだったし、受験が終わったタイミングで彼女を作ることも考えられたから。
ますます真実のような気がして、余計に聞けなかったのだ。
しかも先輩の彼女になったと噂になった人は3年生で一番の美人だと噂される人だった。
先輩とお似合いだと思ってしまう自分も悔しかった。
「もしかして先輩フラれたんですか?デートにも行かずに、部活に来るなんて」
この時はいつものノリで聞けたと思う。
わたしが先輩と彼女がどうなったかどうかを気にしているなんて気づかせないほどに。
「フラれるって誰にだよ。デートって誰と?」
「え?先輩、彼女いるんじゃなかったんですか?」