先生、恋愛を教えて。
「は?彼女?もう1年いないけど」
「えー!?」
「何そんなに驚いてんの」
まさかの真実に目を丸くするしかなかった。
それと同時に「こんなことなら早く聞いておけばよかった」と後悔の念も生まれてくる。
目の前の先輩は何事かと、わたしに負けず劣らずの不思議そうな顔をしていた。
「先輩、彼女ができたっていう噂が少し前に流れたの気づいていなかったんですか?」
「彼女ができたって俺に?なんでそんな噂が流れたんだよ」
「知りませんよ!わたしに聞かないでください!」
「美菜、何キレてんだよ」
「キレてません!」
「いや、思いっきりキレてんじゃん」
わたしが怒るたびに、なぜか先輩は嬉しそうに笑っていたっけ。
この時、なぜか先輩が弾くお琴の音が聞きたくなった。
「先輩、お琴弾いてください」
「どうした、急に」
「聞きたくなったんです」
「じゃあ、美菜も一緒に弾こうぜ。合奏しよう」
「わたし、まだ簡単な曲しか弾けないですもん」
「それでもいいから」