先生、恋愛を教えて。

わたしの知らないところで、父と母がこんなことをしてくれていたなんて。

両親がわたしのために何かをしてくれたことが今までにあっただろうか。

もしかしたら、初めてかもしれないと思った。


「よかったね、お姉ちゃん。これでお琴買えるね」

「うん……でも、今度の演奏会には間に合いそうにないかな。来年の演奏会ではお披露目できそうだけど」

「お姉ちゃん、新しいお琴出来てると思うよ」

「どういうこと？」

「実はね、この前お母さんがお姉ちゃんのお琴教室に電話かけてたの。新しいお琴は作ってやってくださいって。お金は何とかしますからって」


さやかとの電話で、まさかの事実が判明した。

でも、本当かどうか確認せずにはいられなかった。

電話を切って、そのまま玄関に立ったまま、わたしは先輩に電話をかけた。


「先輩、お琴作ってくれたの？」

「なんだよ、美菜、急に。ビックリしたじゃん」

「あ、ごめん、先輩。今、妹から聞いて」


まだ心臓がどきどきいってる。

落ち着きたくても落ち着けなかった。