先生、恋愛を教えて。



「だから、俺が紹介してやるからそれまで待ってろ」

「紹介って先輩が仕事先を?」

「ああ、今のコンビニのバイトよりも時給いいぞ。結構稼げるし、美菜の好きなことだ」


そのあと何の仕事なのかいくら問いただしても、先輩は結局口を割らなかった。

わたし、本当に先輩に助けられてばかりだ。


時々、疑問に思うことがある。

どうして先輩はわたしにこんなに親切にしてくれるんだろうと――


“美菜みたいな妹がいたら毎日飽きないだろうな”

と、高校生の時に言われたことを今でも思い出す。

わたしは先輩にとって妹に過ぎないんだと、そのたびに思い知らされた。





「飯の前にやるか」

「うん」


お琴が2面並ぶには狭すぎる部屋で、わたしたちはよく2人だけの合奏をしている。

先輩が家に遊びに来るたびに、わたしたちは時間が経つのも忘れてただひたすら弾いている時間が好きだった。




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