千早くんは、容赦が無い
 ふたりとも、私と千早くんをふたりっきりにしようとしてくれた?

 午前中もふたりっきりだったんだけどな……。

 なんて思う私だったけれど。

「っつーわけで。せっかくだしふたりでカフェ行こっか、亜澄」

 桜子と涼介くんの意図をやっぱり察しているらしい千早くんは、得意げに微笑んで言う。

 バスタオルで拭いたとはいえ、千早くんの髪の毛も服もまだ湿っていた。

 ふたりっきりかどうかはともかく、カフェで温かいものでも飲んだ方がよさそうだなあ。

「うん、そうだね」

 私がそう言って頷くと、千早くんは笑みを濃くした。

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