千早くんは、容赦が無い
 そ、それに温めるってどういうこと!?って本気で考えちゃったのに。

 さすがに私は頬を膨らませてみせる。

「ごめんてー。だって赤くなる亜澄、かわいくてツボでさ」

 また、不意打ちでかわいいなんて言ってくる千早くん。

 それを聞いたら、性懲りもなく私は嬉しくなってしまう。

 もう、なんかずるいなあ……。

 なんて思っていると、千早くんは二回連続でくしゃみをした。

 あれ、もしかして寒いっていうのは本当なのかな……。

 膝にかけていたはずのブランケットも、いつの間にかお腹の辺りまで引っ張られている。

 コーヒーカップを持つ千早くんの手の血色も悪い気がした。

 なんとかしなきゃと焦った私は、千早くんがカップをテーブルに置いたら、彼の手のひらを自分の両手で包む。

 そして少しでも温かくなるように、両手でさすった。

「亜澄……?」

 千早くんは少し驚いたような声を上げた。

 そこで私ははっとする。

 温かくしなきゃって思いが先行して、つい千早くんの手を取ってしまったけれど。

 これ、千早くんと手を繋いでいるのと同じだよね……?

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