千早くんは、容赦が無い

焦らず、自分のペースで

 カフェで千早くんと休憩した後、桜子と涼介くんと合流して四人でいくつかのアトラクションを楽しんだ。

 夕方になり、私たちは遊園地の入り口で解散した。

 あらかじめ桜子に「遊園地で遊んだ後、千早くんのことをふたりで話したい!」と誘われていたので、帰りは千早くんとは別々になった。

「一緒に帰れないのかー、残念。じゃーね亜澄」

 別れ際、本当に少し残念そうに千早くんがそう言うので、私は後ろ髪を引かれる思いだった。

 だけど桜子の千早くんに対する印象も、やっぱり詳しく聞きたくて。

 私と桜子は、遊園地近くのファーストフード店へと入店した。

「いやー、やばい。思った以上のイケメンだった、千早くん。言うことなしですっ」

 注文したポテトを齧りながら、桜子が興奮した様子で言う。

「ま、まあ……。かっこいいとは私も思うよ」

 私は桜子が奢ってくれたケーキをつつきながら答える。

 「ちぇりー」のふりをして千早くんと最初に会うってなった時に、「ケーキ奢るから!」と桜子に約束されていたので、その分だった。

 桜子の言う通り、近寄っただけでドキドキしちゃうくらい千早くんはかっこいい。

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