千早くんは、容赦が無い
　いつも通り、部活に集中したいと丁重にお断りしたが、その男子が吹奏楽部の女子の先輩の意中の相手だったらしい。

　それから、その女子の先輩と仲のいい部員たちが、麗奈をあからさまに無視するようになったんだとか。

　もともとその先輩はとても気が強く、気に入らない後輩に対して取り巻きと一緒に嫌味を言ったり、仲間外れをしたりすることがあったらしい。

　面倒そうな人だと入部当初に察した麗奈は、その先輩に対しては当たり障りのない応対を心がけ、今まではトラブルはなかったんだって。

　でも、その先輩に目をつけられた子には、目立たないように仲良くしたり励ましたりはしていたとのこと。

　そこまで聞いて、麗奈の対人スキルの高さに私は感心してしまう。

　癖のある人とは深く付き合わず、傷ついた人に対してはさりげなく手を差し伸べる。

　我が妹ながらも、見習いたいと思っちゃった。

　――だけど今回は。

　ただ告白されて断っただけの麗奈だけど、その女子の先輩からしてみれば、深い嫉妬の対象になってしまったということみたい。

　いくら麗奈が無難に人づきあいができる子だとしても、どうしようもない状況だ。
< 117 / 221 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop