千早くんは、容赦が無い
ぱっと思いつかなかった私は、千早くんの意見を聞こうと口を開きかけた。
しかし、その時。
「……あっ!」
私は立ち止まる。
気づけば、この前麗奈がひとりでクラリネットを吹いていた河川敷の高架橋の近くを私たちは通りかかっていた。
そしてまさに聞こえてきたんだ。
あの時と同じ、麗奈のクラリネットの音が。
音のした方を見てみると、案の定麗奈がひとりでクラリネットを演奏していた。
「あそこで練習してるの、麗奈だ!」
「えっ、マジ? ってか、すごく上手じゃね?」
「うん、我が妹ながらすっごくうまいんだよ」
その後、とりあえず行ってみよっか、って私が言うよりも早く、千早くんは麗奈の方へと駆け寄った。
私も慌ててついていく。
たどり着くと、ちょうど切りのいいところで演奏を終えたらしい麗奈が、私たちに気づいて目を見開く。
「あれ、ねーちゃん……と、誰? ねーちゃんの男?」
「れ、麗奈っ」
こんな時でも相変わらずの麗奈節に、私は焦る。
だけど千早くんはおかしそうに「はは」と笑いをこぼした後、きりっと芝居がかった真剣な表情になって、こう言った。
しかし、その時。
「……あっ!」
私は立ち止まる。
気づけば、この前麗奈がひとりでクラリネットを吹いていた河川敷の高架橋の近くを私たちは通りかかっていた。
そしてまさに聞こえてきたんだ。
あの時と同じ、麗奈のクラリネットの音が。
音のした方を見てみると、案の定麗奈がひとりでクラリネットを演奏していた。
「あそこで練習してるの、麗奈だ!」
「えっ、マジ? ってか、すごく上手じゃね?」
「うん、我が妹ながらすっごくうまいんだよ」
その後、とりあえず行ってみよっか、って私が言うよりも早く、千早くんは麗奈の方へと駆け寄った。
私も慌ててついていく。
たどり着くと、ちょうど切りのいいところで演奏を終えたらしい麗奈が、私たちに気づいて目を見開く。
「あれ、ねーちゃん……と、誰? ねーちゃんの男?」
「れ、麗奈っ」
こんな時でも相変わらずの麗奈節に、私は焦る。
だけど千早くんはおかしそうに「はは」と笑いをこぼした後、きりっと芝居がかった真剣な表情になって、こう言った。