千早くんは、容赦が無い
「千早くんが、ねーちゃんがこの前ニヤついていた原因かあ。ふーんすっごくいい男じゃん」
「えっ……!」
言葉に詰まってしまう私。
否定したかったけれど、麗奈の言う通り本当にニヤついていた原因だし、すっごくいい男なのもまるっと同意だしで、言葉が出てこなかった。
麗奈の言葉で、改めて千早くんの魅力を再認識させられてしまった私。
するとなんだか、無理に否定するのも変な気がしてしまって。
「そうだね。千早くんはいい男……かも」
いい男、というところでやっぱり照れてしまって、たどたどしい口調になってしまった私。
だけど麗奈は満足そうに笑って、私の肩をポンポンと軽く叩いた。
「ふふ、ねーちゃん素直じゃん。頑張んなよ」
と、どこか不敵に笑って私にエールを送ってくれた。
その後はすぐ晩御飯になり、両親に部活の様子やコンクールに向けての思いを、麗奈は意気揚々と語っていた。
私はそんな麗奈の様子を嬉しく思いながらも、半分は千早くんのことを考えていた。
ねーちゃん素直じゃん、か……。
――そうだね、麗奈。
もう、自分の気持ちを誤魔化せなくなっちゃったよ。