千早くんは、容赦が無い

衝撃の過去

 悶々としながらも千早くんと一緒に帰って、彼と別れる地点までたどり着いた。

「じゃあね、千早くん。またあし……」

 また明日、って言って千早くんに手を振ろうとした、その時だった。

「亜澄―! 久しぶりー!」

 大声で誰かが私の名前を呼ぶ。

 傍らにいる千早くんがぎょっとした顔をしたのは、大きな声に驚いたからだろうか。

 そして、私の元に駆け寄ってきた声の主は――。

「あっ、陸!」

 私の幼馴染で、サッカー部所属の陸だった。

 遠方で行われる全国大会に出場するからって、今までずっと学校を休んでいたけど……。

「陸、帰ってきたんだ! 全国大会終わったってこと?」

 私が尋ねると、陸は得意げに笑ってこう答えた。

「おー、昨日終わったんだ!」

「そうだったんだ! どうだった?」

「いやー、それが惜しくも準優勝だったんだよ。延長の末PK戦で負けたんだよな……」

「準優勝!? すごいじゃない!」

 本当に、素直にそう思った。

 だって全国大会で準優勝だよ?

 それも惜しくも負けたって感じらしいから、日本一に限りなく近いってことだ。

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