千早くんは、容赦が無い
 そんなすごいチームの一員である陸のことを、幼馴染ながら私は誇らしく思った。

「まあなー。目標は優勝だったんだけどさ。客観的に考えるとベストエイトくらいがいいとこかなとは考えていたから、準優勝は素直に嬉しかったよ」

「うんうん、私も嬉しいよ! 陸、おめでとう!」

「さんきゅーな、亜澄。……優勝したら言おうって思ってだけど、やっぱりもう言っちゃってもいいかなあ」

 ポリポリと頬をかきながら、急におどおどし出す陸。

 それになんのことを言っているか分からなくって、私は首を傾げる。

「優勝したら言おうって、何を?」

 そう尋ねた私だったけれど、陸は私の隣にいた千早くんを見て、ハッとした顔になる。

 どうやら今まで、千早くんが一緒にいることに陸は気づいていなかったみたいだ。

「ごめん亜澄、その人誰? ……って、あれ!? もしかして千早っ? マジ!?」

 陸は驚いたようで、大きく目を見開く。

「え、陸。千早くんと知り合いなの?」

 陸は普通科、千早くんは理数科で、千早くんは部活にも入っていないから、ふたりにどんな接点があるかはわからないけれど。

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