千早くんは、容赦が無い
「えっ……! い、いや。千早とはサッカー部の仲間ってだけで、別に俺とはなんのトラブルもないけど……」

「サッカー部の仲間!?」

 私は驚きの声を上げる。

 だって千早くんは、部活には入っていないって言っていた。

 最近は毎日一緒に帰っているし、部活に行っている気配だってない。

 それなのに、どういうこと?

「あ、ごめん。正確にはサッカー部仲間じゃないか。サッカー部仲間だった、っていうのが正しいかな」

「サッカー部仲間だった……?」

 つまり、過去形ということ?

 陸は深刻そうな表情で、こう続けた。

「うん。一年の時はあいつサッカー部でさ。すっげーうまくて、一年の時から先輩たちを差し置いて試合にも出るくらいで。人当たりもいい奴だったし、俺とも結構仲良くしてたんだけど、なぜか急に部活に来なくなったんだよな。二年になってからは名簿に名前も載ってなかったから、やめたみたいなんだけど」

「え……そうなの!?」

 衝撃の事実に、私はまた驚愕してしまう。

 千早くんが、陸と同じサッカー部にいた……!?

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