千早くんは、容赦が無い
 眉間に皺をよせ、渋い顔をして陸は言う。

「……うん」

「今はどうだから知らないけど。去年の千早はちょっと危なそうなやつだったよ。すれ違っても全然目を合わせてくれなかったし……。正直、あいつに近寄らない方がいいと思う。俺は亜澄のこと心配だし。亜澄はあいつのこと、好きかもしれな……」

「そんなことないっ! 千早くんは危ない奴なんかじゃないもん!」

 千早くんのことを悪く言われて、陸にとても腹が立ってしまった。

 だからつい、大声で怒鳴るように陸の言葉を遮ってしまった。

 陸が私のことを心配してくれているんだっていうのが分かっている反面、やっぱり大好きな千早くんのことをそんな風に言われるのは、どうしても許せなくって。

 私は感情のコントロールができなくなってしまったんだ。

「あ、亜澄……」

 私の剣幕に、陸は戸惑ったような顔をする。

 ――だけど。

「千早くんのこと悪く言わないで! 今の千早くんのこと、何も知らないくせにっ……!」

 感情がぐちゃぐちゃの私は、さらに陸を責め立ててしまう。

「私はこれからも千早くんと仲良くするんだからっ。だって、私は……!」

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