千早くんは、容赦が無い
 千早くんの目はちょっと潤んでいるようにも見えて、もしかして感激してるのかなって私は思った。

「う、うん……。千早くんはいつも私に言ってくれているのに、私はなかなか勇気が出なくて……。今まで言えなくて、ごめんね」

 千早くんが私の告白を受け入れてくれたらしいことに安堵しながら、私は言う。

 すると千早くんはおかしそうに笑った。

「はは、いーっていーって。普通、あんまりそういうことたくさんは言わないっしょ」

「えっ……。でも千早くんはしょっちゅう言っていたから」

「俺は亜澄のこと好きすぎて、言わずにはいられなかったから」

「わ、私だって千早くんのこと好きすぎるよっ⁉」

 千早くんの言い方が、「俺の好きの方が大きい」って主張している気がして、なんだか悔しくなった。

 だから私は必死になってそう言ったんだ。

 ――すると。

「亜澄って、俺が思ってた以上に俺のこと好きなんだなあ」

 千早くんは満足そうに言った。

 ご満悦と、いった表情だ。

「えっ、あっ……!」

 流れに任せて、またとんでもないことを言っちゃったことを、今になって私は気づいてしまう。

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