千早くんは、容赦が無い
 さすがに恥ずかしくなった私は、顔を真っ赤にしてしまった。

 だけどそんな私を優しい目で見ながら、千早くんはなんと頭を撫でてきた。

「ち、千早くん……」

「ありがと、亜澄。昔の俺ごと受け入れてくれて」

「だ、だって……。千早くんは、私の弱いとこも受け入れてくれたから」

 ――そう。

 遊園地で絶叫系の乗り物になれなかった時も。

 妹の麗奈のことで悩んでいた時も。

 千早くんは全然面倒がらずに、常に優しくって私の力になってくれた。

 そんなのに比べたら、ちょっと荒れてしまっていた千早くんの過去なんてどうってことないんだよ。

 確かに知った時はびっくりはしたけれど。

 千早くんを好きな気持ちは、そんなことじゃ全く揺らがなかった。

「亜澄の弱いとこ……? そんなところあったっけ。あっ、もしかしてジェットコースターに乗れなかったこととか?」

「そ、そう。あとは妹のことで落ち込んでいた時のこととか……」

「あー。でも遊園地の件は怖い系に乗れないなんてかわいいなあとしか思わなかったし、妹の件はやっぱり亜澄は優しいんだなあとしか」

「えっ……。そ、そうなの?」

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