千早くんは、容赦が無い
　桜子も、つい数日前に涼介くんと正式に付き合うことになったところなのでバタバタしていたから、ふたりでゆっくり話すのは実は久しぶりだった。

　どんどん心苦しくなっている私の気持ちは、やっぱり親友には隠せなかったみたいだ。

「実は……。まだ千早くんに言えてなくて」

「え、何が？」

「……私が本当は『ちぇりー』じゃないってこと」

　小声で打ち明けると、桜子は目をぱちくりさせた。

「えっ、そうだったの!?　付き合い始めたから、その問題はとっくに解決してるのかと！」

「だよねー、そう思うよね。もうどんどん言いづらくなっちゃって、どうしたらいいかわからないよ……」

　私は重苦しい声を上げる。

　すると桜子はしばらくの間黙って考えた後、口を開いた。

「いや、もうここまで来るともうどうでもいいことじゃない？」

「どうでもいいこと……？」

　意外な桜子の言葉だった。

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