千早くんは、容赦が無い
「だって、明らかに千早くん今の亜澄のこと好きじゃん。何度も言うけど、私が『ちぇりー』で彼と関わっていた時なんて、顔も名前も分からないときだし、やり取りだって『アオハル』上のメッセだけだよ？　それだけでここまで人を好きになるなんて、ありえないでしょ」

「そうかなあ……」

「そうだよ。もしかしたら、きっかけ自体は『ちぇりー』の私に千早くんがほのかな好意を抱いたことかもしれない。でももう、そんなのは些細なことだよ。千早くん、リアル亜澄にベタ惚れだもん。『アオハル』でのことなんて、もうどうでもいいことにしか思えないよ」

　いつになく真剣な様子の桜子。

　本当に心から、桜子がそう思っているのがひしひしと伝わってくる。

　私と千早くんの関係を見ている親友の桜子がそう言ってくれているんだから、そうなのかもしれない。

　もう「ちぇりー」の件は関係なく、千早くんは私を好きになってくれているのかもしれないって私も思う。

　――だけど。

　好きな人に、私は隠しごとをしたくなかった。

　恋人同士という間柄だったとしても、秘密にしたいことは誰にだってあるだろうって私だって思う。

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