千早くんは、容赦が無い
 別に隠すつもりはないけれど。

 陸は千早くんのことをよく思っていないみたいだから、やっぱり「やめとけ」って言いに来たのかな。

「陸。確かに千早くんに荒れていた時期があったのは本当だったよ。だけどあれには理由があったし、今は……」

「いや、別にそのことを言いに来たんじゃないよ」

 えっ、違うの?

 てっきり「あんな危ないやつと付き合わない方がいい」って、幼馴染のよしみで私に忠告しに来たのかと思った。

「じゃあ一体何を……」

「俺、気になったんだ。千早と亜澄は接点は無いはずなのに、どうやって知り合ったんだろうって。……どうして亜澄は千早を好きになったんだろうって」

「え……?」

 確かに、私と千早くんは中学が違うし、高校だって科が違うから校舎だって離れている。

 陸の言う通り、知り合う機会なんて今までなかった。

 だけど陸はどうしてそんなことが気になるのだろう。

「だから桜子に聞いたんだ。亜澄と千早はどうやって知り合ったのかって」

「……!」

 陸の一言に、私は冷や汗をかく。

 ――まさか陸。

 桜子から、あのことを。

 「ちぇりー」のことを。

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