千早くんは、容赦が無い
「えっ、いや……。今日亜澄に本を返してもらう予定だったんだけど、受け取りそびれたことを思い出して」
陸の問いかけに、淡々と答える千早くん。
私はそんな彼の声が、私には遠くに聞こえた。
今の私の胸は「ああ、終わりだ」という思いで支配されていたから。
さっきの千早くんの「それ、ほんと?」って言葉は、衝撃を受けて絞り出しているような言い方だった。
たぶん、「ちぇりー」が私じゃないって知ってショックだったんだろう。
もう、ダメだ。
驚いたような顔をしている千早くんに向かって、私は力なく微笑んだ。
「ごめんね、千早くん。ずっと言えなくって。私、『ちぇりー』じゃなかったんだ。千早くんが好きな『ちぇりー』は、私じゃなくて桜子だったんだ」
観念した私は、もうどうにでもなれと思いながら、真実を改めて千早くんに伝える。
千早くんは戸惑いを顔に浮かべながら、口を開く
「亜澄、あの俺……」
「さよなら」
千早くんの言葉を最後まで聞くのが、どうしようもなく怖かった。
だから千早くんの話を遮るように、私は短く別れの挨拶を言って、彼に背を向ける。
陸の問いかけに、淡々と答える千早くん。
私はそんな彼の声が、私には遠くに聞こえた。
今の私の胸は「ああ、終わりだ」という思いで支配されていたから。
さっきの千早くんの「それ、ほんと?」って言葉は、衝撃を受けて絞り出しているような言い方だった。
たぶん、「ちぇりー」が私じゃないって知ってショックだったんだろう。
もう、ダメだ。
驚いたような顔をしている千早くんに向かって、私は力なく微笑んだ。
「ごめんね、千早くん。ずっと言えなくって。私、『ちぇりー』じゃなかったんだ。千早くんが好きな『ちぇりー』は、私じゃなくて桜子だったんだ」
観念した私は、もうどうにでもなれと思いながら、真実を改めて千早くんに伝える。
千早くんは戸惑いを顔に浮かべながら、口を開く
「亜澄、あの俺……」
「さよなら」
千早くんの言葉を最後まで聞くのが、どうしようもなく怖かった。
だから千早くんの話を遮るように、私は短く別れの挨拶を言って、彼に背を向ける。