千早くんは、容赦が無い

これからも、ずっと

 なんとなく学校へと入った私は、花壇の端に腰を下ろした。

 そしてぼんやりと校庭の方を眺める。

 サッカー部が練習している光景が自然と目に入ってきた。

 陸、今日は練習をサボったのかな。

 私と話をするために。

 千早くんのことも陸のことも振り回しちゃって、なんだか申し訳ないや。

 ――千早くん。

 ごめんね、私が「ちぇりー」じゃなくって。

 だから、もうきっとお別れなんだよね。

 さっき浮かんだ涙が頬を伝う。

 校庭にはサッカー部以外にも運動部の子たちがたくさんいるというのに。

 こんなところで泣くなんて、馬鹿じゃないの私。

 そう思って私は必死にごしごしと目元を拭いて、涙を乾かした。

 ――すると。

「あっ、如月! ちょうどよかったー! 今暇?」

 三沢先生が偶然通りかかって、私に声をかけてきた。

 涙を拭いておいてよかった……と思いつつ、私はこう答える。

「先生、なんですか?」

「いや、また花壇に雑草増えてきちゃって。抜いといてくれる?」

 三沢先生に話しかけられた時点で少し覚悟はしていたけれど。

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