千早くんは、容赦が無い
 手のひらが触れ合っているだけだというのに、お腹の底から嬉しさが沸き上がってきて、幸せな気持ちになってしまう。

「うんっ!」

 私は弾んだ声で答えた。

 そして手を繋いだままふたりで歩き始めると。

「あ、そういえば今日あれやるっていってたよな、亜澄」

「えーっと、なんだっけ?」

「ほら、ミニトマトさ。もう実がいい感じになったって言ってたから」

「あっ、そうだ! 収穫!」

 そうだ、ちょうど収穫できるくらいまでにミニトマトの実が大きくなったので、明日収穫しようって千早くんと話していたんだった。

「じゃ、放課後だね。俺も一緒にやるから」

「えっ、ほんと? ありがとう」

「いや、俺だって楽しみにしてたんだよ、出来上がんの。俺と亜澄を結び付けてくれたミニトマトなんだからさ」

 千早くんは嬉しそうに言う。

 ――うん、そうだね。

 去年千早くんが後ろ向きになっていた時に、私が育てていたミニトマトがきっかけで立ち直ることができたと言っていた。

 そしてそのことで、私に想いを寄せるようになってくれた千早くん。

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