千早くんは、容赦が無い

初めての……

「千早くん、今日はこれくらいかな!」

「おー。いっぱい獲れたなあ」

 収穫したミニトマトをビニール袋に入れて、ほくほく顔の私たち。

 放課後になって、花壇で千早くんと待ち合わせした私は、さっそく彼とミニトマトの収穫を始めた。

 まだ育っていない実もあって、それらはもう少し成長してから獲るつもりだけれど、今日ですでにたくさんの熟したミニトマトが収穫できた。

 真っ赤な色に染まったミニトマトがたくさん詰まった袋を持って、置いていたスクールバッグを取りに、一度私の教室に戻る私たち。

 クラスメイト達は帰宅したか部活に行ったかしたみたいで、誰もいなかった。

 千早くんはミニトマトを眺めながら、満面の笑みを浮かべる。

「うまそう。こんなに立派に育つんだなあ。売ってるミニトマトみたい」

「ちゃんと世話してたからねー。千早くんが脇芽を摘んだり、雑草を抜いたりしてくれたおかげだと思う!」

「そっかー。じゃー俺たちふたりの愛の結晶ってことで」

 いつものように、あっさりと甘い言葉を放ってくる千早くん。

 あ、愛の結晶って……。

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