千早くんは、容赦が無い

 そう気づいた私は、全身の感覚がよくわからなくなるほど、体中が火照ってしまった。

「ごめん。本当亜澄がかわいすぎて、ついやっちゃった。……嫌だった?」

 硬直している私に千早くんが苦笑いを浮かべて言う。

 私は体を強張らせながらも、全力でぶんぶんと首を横に振った。

「嫌……なわけないっ。う、嬉しい、よ」

「ほんと? よかった」

 嬉しそうに微笑む千早くん。

 私に比べると断然余裕そうだ。

 私だってもっと笑って嬉しさをアピールしたいのに、ドキドキしまくっちゃってうまく表情が作れない。

 ――でも。

「真っすぐで初心で、前向きな亜澄が本当に好き。……俺とずっと一緒にいてね」

 千早くんが私を抱きしめて、耳元で囁くように言う。

 千早くんは、ありのままの私を好きでいてくれる。

 出会ったきっかけや、告白のタイミングは少し変だったけれど、飾らない私をずっと思い続けてくれた千早くん。

 ――私はこのままで、いいんだよね。

「……うん。私、千早くんとずっと一緒にいる。一緒にいたい」

 そう答えると、千早くんは腕に込める力を強めて、私をギュッと抱いた。

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