千早くんは、容赦が無い
 みんなを眺めて私は、他人事みたいに言う。

 だって私は「アオハル」には登録していないから。

「亜澄もやればいいのにー! いろんなこと話せるし、他の学校の子とも繋がれるし、楽しいよ」

 私の隣の席に座って、親友の桜子が言った。

 隣は本当は幼馴染の陸の席だけれど、休み時間いつも桜子はこうして陸の椅子を奪って話をしに来る。

 窓側で風通しがいいからだろうな。

 桜子とは一年生の時に同じクラスになって、仲良くなった。

 二年生でまた一緒のクラスになれた時は、ふたりして飛び上がって喜ぶほどの、親密な関係だ。

 ゆるふわのロングヘアをアッシュブラウンに染めて、いつもきれいにメイクをしている桜子は、きれい系の美少女だ。

 性格もはっきりズバズバと物を言うタイプだし、のんびり屋でどちらかというと地味寄りの私とは、正反対だと思う。

 だけど逆にそれが良かったみたいで、パズルのピースを当てはめるかのように、私たちはぴたりと馬が合った。

「うーん。確かに楽しそうだけどさあ。……ちょっと怖いかなあ」

 前のめりで「アオハル」を勧めてくる桜子に、私は苦笑いをして答える。

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